アジア一人旅 Part2 レポート {by:Kato}
5日目 トレッキング2

 この日、一番の早起きは僕だった。
一番早く寝たんだから、当たり前か。もっとも、村の人は起きていたと思う…。
暗いうちに目が覚めて、トイレに行きたくなった。
手探りで外に出たら月明かりも少ない。
一体どうしたものかと思った時に、日本から目覚ましに使おうと思い持ってきた、携帯電話が役立った。
バックライトの明かりは普段は気付かないけど、結構明るいものだ。
そして、星がメチャクチャ多くて綺麗だった。
バリ島で見た星も良かったが、もしかするとこっちの方が綺麗かも知れない。
しばらく見とれて?蚊にさされる羽目に…。
更に明るくなって、シッポを力一杯振り回しながら走る、小ブタが見えるようになってきた。
かわいい…、かわいすぎる。
あたりをよく見るとブタ、ウシ、ニワトリ、犬、の糞が足の踏み場もない程、散らばっていた。
僕が暗闇のトイレへ行く際、思いっ切り踏んづけていたことは、言うまでもない…。

タイ山岳民族の子供たちはいい笑顔を作る

さて、9:30に村を出発。
1泊2日のツアーの人たちと別れて、歩き出す。
その数、ガイドを含め6名。
この日のトレッキングは午前中3時間、午後4時間の7時間。
その時間、ただ平地を歩くだけなら、簡単に思える。自信もあった。
しかし、こんな山道、しかも木に捕まらないと下っていけないような坂道があったり、川をジャンプし たり、もう並じゃない。

これだけでも大変なのに、午後になって、ものすごい雷とともにどしゃ降りの雨に遭遇。
もうパンツまでびっしょりで、納屋のような建物に避難した。
土砂降りで雨宿り…それにしても元気なガイド

火を起こして、服の水を絞り、ウィスキーを回し飲みする。
まさか、こんなタイの山奥で僕がこんなことをしているなんて、一体、誰が思うだろう。
しかし、もう限界だろうという感があった。
こんなにもきついツアーに、自分から進んで参加するとは…。ちょっと後悔。
しかし、後悔しようが、しまいが、雨がやめば歩き出す。

タイの土壌は粘土のような赤土がかなり多いらしく、坂道ではツルツル滑り落ちる状態。
体じゅう粘土で真っ赤になりながら、やっと村にたどり着く。
この村がガイド(ナンチャン)の出身の村だという。
どおりで、あんな道の無いような所をガンガン進めるわけだ。
さて、ナンチャンの兄弟が10人も出てきて、僕たちのランチを作り出す。

やけに似合ってるポール
手に持っているのは現地の楽器:弦はバイクのブレーキワイヤーでできている

インスタントラーメンのようだったが、なぜか旨かった。
ランチも食べ終えて、出発。
さわやかな雨上がりの山道を歩き出す。
しかし、気持ちは今ひとつ。
疲れが絶頂に達したと思われる夕方、どうにかこうにか、滝のそばにある村にたどり着いた。

みんな放心状態、無表情の顔つきで、座り込んだ。
今、思い出したのだが、途中の山々に、マジックマッシュルームがたくさん生えていた。
これがそうなのかーと触ってみるとプヨプヨ。
なかなかやわらかくて、うまそうだ。
ポールがさわらない方がいいと言って手に水をかけてくれた。そんなに怖いのだろうか。
さて、夕食までの間にシャワーを浴びたが、そんな都合のいいものはあるはずがない。
滝の一部を使ったものである。
勢いが強すぎて、毛が吹き飛んでしまうのではと思う程…。
しかも、赤土のせいで水はちょっと赤い。それでも、気になんてしていられない。
実に冷たくて気持ち良かった。

ところで、滝の上はものすごい絶景だった。
その滝の上にある大きな石の上で、一休み。
ふと、ポールを見ると、目をつむり、瞑想をしていた。(ようだった…)
目を閉じて、動かなくなった彼。なるほどと、僕も従う。
二人とも黙って目を閉じて、滝と鳥の音を聞いた。
10分程経った頃、ポールが「イッツ・ビューティフォー」と話しかけてきた。
日本語では何という?と聞かれ、僕は「き・れ・い」と答えた。 なんか日本語やだな。カッコ悪い。
村の小屋に帰ると、食事ができていた。
これも、なかなか旨かった。味になれてきたのかも知れない…そう思った。
その後、ビールを2本飲んで僕はバタンキューした。
何しろ疲れた…。
もう何もしたくない、そう思った…。


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